仮想通貨の譲渡に係る課税関係の見直し
平成29年度税制改正により、消費税が非課税とされる支払手段に類するものの範囲に仮想通貨が加えられました。仮想通貨には様々な種類がありますが、代表的な例として「ビットコイン」が挙げられます。
(1)改正前の制度の概要
消費税は、国内における消費一般に対して広く公平に負担を求める税であり、原則として全ての財貨・サービスの国内における販売、提供などを課税対象としていますが、支払手段その他これに類するものについては、消費に負担を求める税の性格上、課税することになじまないものとして非課税とされています。
消費税法上、支払手段とは、外国為替及び外国貿易法第6条第1項第7号に規定する支払手段をいい、具体的には、銀行券、政府紙幣、硬貨、小切手等をいいます。
また、支払手段等の譲渡については、その性格に鑑み、課税売上割合の計算に含めないこととされています。
しかし、仮想通貨は、これまで法律的に定義されていなかったため、消費税の課税対象とされてきました。
(2)改正の内容
改正資金決済法において仮想通貨が支払いの手段として位置づけられたことや、EU等では仮想通貨の譲渡は非課税とされていること等を踏まえ、仮想通貨の譲渡については消費税を非課税とする消費税法施行令の改正が行われました。
具体的には、消費税が非課税とされる支払手段に類するものの範囲に、改正資金決済法第2条第5項に規定する仮想通貨が追加されました。
また、仮想通貨の譲渡については、その性格に鑑み、法定通貨等の支払手段と同様に、課税売上割合の計算に含めないこととされています。
(3)適用時期及び経過措置
この改正は、平成29年7月1日(以下「施行日」といいます。)以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れについて適用され、施行日前に国内において事業者が行った資産の譲渡等及び課税仕入れについては、なお従前の例によることとされています。
また、施行日前に仮想通貨を駆け込みで購入することにより、仮想通貨の市場に大きな影響を及ぼすことを回避する観点から、下記の条件を満たす場合には、当該増加分の課税仕入れに係る消費税額については、仕入税額控除を認めないとする経過措置が設けられています。
@平成29年6月30日に100万円以上(税抜き)の仮想通貨を有している。
A平成29年6月30日の仮想通貨の保有数量が、平成29年6月1日から平成29年6月30日までの間の各日の仮想通貨の平均保有数量に対して増加した場合
作成日 平成29年11月1日