営業権の償却方法に関する改正
平成29年4月1日以後の取得分に係る税務上の営業権の償却方法について、取得年度の償却限度額の計算上、期割計算から月割計算に改正されています。
(1)改正の内容
営業権は「のれん」と呼ばれ、ブランドなどの目に見えない超過収益力を意味し、M&Aなどの際に発生する勘定科目です。受け入れる純資産より取得価額が大きい場合の超過額であり、この営業権は無形固定資産として計上されます。
日本の会計基準では、この営業権を減価償却資産として償却しますが、現状におけるこの償却の取扱いについて、会計上は取得後20年以内の均等償却、税法上は耐用年数5年の定額法となっています。
税務上、改正前は5年間の均等償却とされ、取得額を60ヶ月で除した金額に当該事業年度の月数を乗じて計算した金額の償却が行われ、期の途中の取得であったとしても1年決算法人であれば1年分の償却が行われていました。
改正後は、営業権を取得した日から事業年度終了の日までの月数を乗じることによる月割計算が行われることになります。(なお、所得税についても同様です)
(2)営業権の取得年度の償却限度額の計算
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改正前 |
改正後 |
取得年度の償却限度額の 計算方法 |
期割計算 |
月割計算 |
(3)具体的事例
【事業年度が平成29年4月1日から平成30年3月31日の場合】
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(取得してから事業年度終了の日までが9ヶ月である)
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【改正前】
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1億円 × 12ヶ月/60ヶ月 = 20,000千円(償却額) |
【改正後】
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1億円 × 9ヶ月/60ヶ月 = 15,000千円(償却額)
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作成日 平成29年9月1日