取引相場のない株式の評価の見直し
平成29年度税制改正により取引相場のない株式の評価の見直しが行われます。
(1)取引相場のない株式の評価
取引相場のない株式の評価については、従前の通り、下記の評価方法となります。
同族株主等・・・原則的評価方式で評価(類似業種比準方式と純資産価額方式)
同族株主等以外の者・・・特例的評価方式(配当還元方式)
(2)類似業種比準方式の改正
類似業種比準方式について、下記の見直しが行われます。
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類似業種の上場会社の株価について、現行に課税時期の属する月以前2年間平均が加えられます。これにより、株価が上昇局面にある場合には、急激な変動が平準化されます。
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A
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類似業種の上場会社の配当金額、利益金額及び簿価純資産価額について、改正前は上場会社の単体決算の数値を使っていますが、改正後は連結決算の数値を反映させたものとされます。
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B
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配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の比重について、1:1:1とされます。
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B
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評価会社の規模区分の金額等の基準について、大会社及び中会社の適用範囲が総じて拡大されます。
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(3)改正前と改正後の類似業種比準方式の算式
【改正前】
類似業種の 上場会社の株価 |
× |
配当比準値+利益比準値×3+簿価純資産比準値 |
× |
大会社0.7
中会社0.6
小会社0.5 |
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5 |
【改正後】
類似業種の 上場会社の株価 |
× |
配当比準値+利益比準値+簿価純資産比準値 |
× |
大会社0.7
中会社0.6
小会社0.5 |
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3 |
改正前においては、配当・利益・簿価純資産の比重が1:3:1であり、利益が配当や簿価純資産の3倍の比重とされ、業績が好調な企業にとっては、株価の評価が上がってしまう傾向とされていました。
改正後は、配当・利益・簿価純資産の比重が1:1:1となり、利益が配当や簿価純資産と同じ比重になり、業績が好調な企業にとっては、株価が引き下げられる可能性があります。
ただし、簿価純資産価額が大きい企業では、分母が5(改正前)から3(改正後)に変更されるため、逆に株価が上がってしまうこともあります。
作成日 平成29年6月1日