公認会計士・税理士 中野会計事務所
税制改正

 中小企業の事業承継円滑化のための2つの法律案

 中小企業の事業承継を円滑に行うための制度として株式の移転について2つの法律案が話題になっています。なお、いずれも未だ法律は成立していません。

  遺留分に関する民法の特例

 一つは、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(案)(以下「事業継続円滑化法」という。)」です。
 その概要は、一定の要件を満たす中小企業の後継者が、旧代表者の推定相続人の全員の合意で書面により次の内容を定め、経済産業大臣の確認および家庭裁判所の許可を受けた場合には、
 後継者が旧代表者から贈与を受けた特例中小企業者の株式の全部又は一部について、遺留分に関する次のような特例を受けることができることになります。

 @遺留分を算定する財産の価額に算入しないこと。
 A遺留分を算定する財産の価額に算入する価額を合意の時の時価とすること。

 なお、この法律案は国会で審議中ですが、成立すれば、平成20年10月1日から施行される予定です。



  取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予

 もう一つは、非上場会社の株式を相続した場合、相続税の納税猶予の制度です。

@ 制度の概要
 子(事業承継相続人)が、非上場会社を経営している親(被相続人)からその会社の株式等を相続により取得し、その会社を経営していく場合には、
 その子が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した議決権株式等の課税価格の80%相当額に対応する相続税額の納税を猶予します。
 ただし、子が既に保有していた議決権株式等含めて、その会社の発行済議決権株式総数の3分の2に達する部分を限度とします。
 
A 猶予税額の免除
 その子(事業承継相続人)が、その株式等を死亡の時まで保有し続けた場合には、納税猶予された税額は免除されます。

B 5年以内の認定取り消し、又は5年経過後の株式の譲渡
 その子(事業承継相続人)が、相続税の法定申告期限から5年以内に代表者でなくなる等により、経済産業大臣の認定が取り消された場合には、納税猶予額の全額を納付しなければなりません。
 また、上記5年経過後にその株式の全部又は一部を譲渡した場合には、猶予の対象となった株式総数に対する譲渡株式の割合に相当する納税猶予額を納付しなければなりません。
 上記のそれぞれにより納税猶予額を納付する場合には、相続税の法定申告期限からの利子税も併せて納付しなければなりません。

C ご注意
 この制度は、平成20年1月11日に閣議決定した、「平成20年度税制改正の要項」において平成21年度税制改正でこの制度を創設すると定めたものであり、具体的な法律案も公表されておりません。ただし、この法律は「事業継続円滑化法」の施行日(平成20年10月1日)以降に開始した相続から適用する措置を講ずることとしています。




 

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