平成28年3月期以降の法人税申告における留意点
平成28年度税制改正が平成28年3月29日に可決・成立されましたが、今回は、平成28年3月期以降の法人決算に関する法人税の申告について、適用される主要な改正項目(平成27年度税制改正)について、改めてまとめてみました。
(1)法人実効税率の引き下げ
平成28年3月期から法人税の税率が25.5%から23.9%に引き下げられ、資本金1億円超の外形標準課税適用法人の実効税率は32.11%となります。
(2)繰越欠損金の控除限度額の引き下げ
平成28年3月期から繰越欠損金の控除限度額は、繰越控除前の所得の金額の65%(改正前80%相当額)相当額となります。なお、中小法人等については、従前の控除限度額(100%)のままであります。
(3)受取配当等の益金不算入に係る改正
平成28年3月期から受取配当等の益金不算入制度における株式等の区分及びその配当等の益金不算入割合について、改正前と改正後の内容を比較すると下記の通りとなります。
改 正 前 |
改 正 後 |
区 分 |
益金不算入割合 |
区 分 |
益金不算入割合 |
完全子法人株式等
(株式等保有割合100%) |
100分の100 |
完全子法人株式等
(株式等保有割合100%) |
100分の100 |
関係法人株式等
(株式等保有割合 25%以上)
|
関連法人株式等
(株式等保有割合1/3超) |
上記以外の株式等 |
100分の50 |
その他の株式等
(株式等保有割合 5%超3分の1以下) |
100分の50 |
非支配目的株式等
(株式等保有割合 5%以下) |
100分の20 |
(4)美術品等の減価償却の判定
改正前は、美術品等が減価償却資産に該当するかどうかの判定については、美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る作品か、取得価額が1点20万円(絵画にあっては号当たり2万円)以上であることで判定されていましたが、平成27年1月1日以後に取得した美術品等から、取得価額が1点100万円未満である美術品等は、原則として減価償却資産に該当し、1点100万円以上の美術品等は原則として非減価償却資産に該当するものとされました。
作成日 平成28年4月4日