平成28年度税制改正大綱 U
前々回に引き続き、平成28年度税制改正大綱をご紹介します。その中でも前回記載する事ができなかった主要な改正項目について記載します。なお最終的に内容が確定するのは、国会での議決を待たなければなりませんので、あらかじめご了承下さい。
(1)個人所得課税・・・医療費控除の特例の創設
セルフメディケーション(自主服薬)推進のためのスイッチOTC薬控除が創設されました。
健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品の購入の対価を支払った場合において、その年中に支払ったその対価の額(保険金等で補填される金額を除く)の合計額が1万2千円を超えるときは、その超える部分の金額(その金額が8万8千円を超える場合には、8万8千円)について、その年分の総所得金額等から控除します。
(注1)
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上記の「一定の取組」とは、次の検診等又は予防接種(医師の関与があるものに限る。)をいいます。
特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診
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(注2)
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上記の「一定のスイッチOTC医薬品」とは、要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品(類似の医薬用医薬品が医療保険給付の対象外のものを除く。)をいいます。
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(注3)
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本特例の適用を受ける場合には、現行の医療費控除の適用を受けることはできません。
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(2)法人課税・・・減価償却制度についての見直し
平成28年4月1日以後に取得をする建物附属設備及び構築物並びに鉱業用の建物の償却の方法について、定率法を廃止し、これらの資産の償却の方法が次の通りとされました。
@ 建物附属設備及び構築物(鉱業用のこれらの資産を除く。)
・・・定額法
A 鉱業用減価償却資産(建物、建物附属設備及び構築物に限る。)
・・・定額法又は生産高比例法
(3)納税環境整備・・・クレジットカード納付制度の創設
国税の納付手続について、国税を納付しようとする者がクレジットカードに係る事項につきインターネットを利用して行う入力により納付しようとする場合には、国税庁長官が指定する納付受託者に納付を委託することができることとする。この場合において、納付受託者が国税の納付をしようとする者の委託を受けたときは、その委託を受けた日に国税の納付があったものとみなして、延滞税、利子税等に関する規定を適用するほか、納付受託者の納付義務、帳簿保存義務、納付受託者の指定の取消し等について所要の措置が講じられます。
なお上記の改正は、平成29年1月4日以後に国税の納付を委託する場合について適用されます。
作成日 平成28年3月5日