19年度 減価償却制度の改正 U
減価償却制度の改正について、前回にひきつづき、平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産の減価償却と所有権移転外リース取引に係るリース資産の減価償却について説明します。
平成19年3月31日以前取得資産の償却
平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産の償却限度額は、定額法、定率法のいずれの償却方法も従来どおりの方法で計算します。
ただし、償却可能限度額が廃止されたことに伴い、旧償却可能限度額(95%)に達した事業年度の翌事業年度から、取得価額の5%相当額を5年間で残存簿価1円を残して均等償却します。
<算式>
償却限度額=(取得価額−取得価額の95%−1円)×事業年度の月数÷60
なおこの計算は、平成19年4月1日以後開始する事業年度から適用されます。1年決算法人の場合は、平成20年3月31日に終了する事業年度から適用され、それより前に終了する事業年度(例えば平成19年9月30日に終了する事業年度)については適用できません。
所有権移転外リース取引に係るリース資産の減価償却
平成19年度税制改正により、法人がリース取引を行った場合には、そのリース資産の賃貸人から賃借人への引渡しの時に売買があったものとする旨定められました。
この結果、ファイナンス・リース取引によりリース資産を賃借した法人は、リース料の総額を取得価額とする減価償却資産の取得があったものとします。ただし、その一部を利息相当額として区分している場合にはその利息相当額控除した金額が取得価額になります。
ファイナンス・リース取引のうち所有権移転外リース取引により賃借人が取得したものとされるリース資産の減価償却の方法として「リース期間定額法」が定められました。
<算式>
リース期間定額法= |
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( |
リース資産の取得価格 |
− |
残価保証額 |
) |
× |
その事業年度のリース期間の月数 |
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リース資産のリース期間の月数 |
残価保証額とは、リース期間終了時にリース資産の処分価額が、所有権移転外リース取引に係る契約において定められている保証額に満たない場合にその満たない金額を、賃借人が賃貸人に支払うこととされている場合におけるその保証額をいいます。
上記の月数は暦に従って計算し、1月満たない端数は1月とします。
さらに、売買があったものとされたリース資産につき賃借人が賃借料として損金経理した金額は、償却費として損金経理した金額に含まれることになりました。
所有権移転外リース取引によりリース資産を賃借した法人は、従来どおり支払うリース料を賃借料として損金経理すれば、償却費として損金経理した金額に含まれますので、リース料がリース期間中にわたり均等に(定額で)発生するものであれば申告調整は必要ありませんし、法人税申告書別表十六への記載も不要です。
なお、これらの規定はいずれも、平成20年4月1日以後に締結するリース契約について適用されます。
税法上のリース取引とは、資産の賃貸借で次の要件に該当するものをいいます(つまりファイナンス・リース取引をいいます)。
A | 解除不能 | ・・・ | その賃貸借契約が賃貸借期間の中途において解除することができないもの又はこれに準ずるもの。 |
B | フルペイアウト | ・・・ | 賃借人が賃貸借に係る資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受しかつ、その資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであること。 |