中野一輝公認会計士事務所
コラム

 企業幹部の会計学
   内部統制の整備・運用の重要性

 2005年7月13日、企業会計審議会は、内部統制部会で審議を行っている財務報告に係る内部統制の有効性に関する経営者の評価及び監査の基準について、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(公開草案)を公表しました。

 これは昨年の10月以降、西武鉄道やカネボウ等の証券取引法上の不適切な事例が相次いで判明し、その後4,543社に対して行った金融庁の有価証券報告書等の自主的点検の結果も、訂正報告書を提出した会社数が全体の14.3%にも相当する652社に達し、訂正総件数は1,330件でありました。

 このような事態の原因は、ディスクロージャーの信頼性を確保するための内部統制が有効に機能していなかったのではないかとの指摘がなされ、金融庁を始めとする関係機関も内部統制を充実して投資家の信頼を回復するためには、アメリカの例に倣って迅速に必要な対応を講ずべきであるとして、この度の企業会計審議会の公開草案の発表となったものであります。

 このような財務報告に係る内部統制の評価及び監査制度の導入に対する諸外国の例は、米国ではエンロン事件等を契機に2002年7月26日に成立した企業改革法(サーベンス・オクスリー法)において内部統制報告制度の法定化が行われ、英国、フランス、カナダ、韓国等においても同様の制度が既に導入されているか、導入過程にあります。


【内部統制とは基本的に】
  1. 業務の有効性及び効率性
  2. 財務報告の信頼性
  3. 事業活動に係る法令等の遵守
  4. 資産の保全
の目的達成のために業務に組み込まれ、組織内の全ての者によって遂行されるプロセスを言います。


【そしてこれらのプロセスは】
  1. 統制環境
  2. リスクの評価と対応
  3. 統制活動
  4. 情報と伝達
  5. モニタリング
  6. ITの利用
の6つの基本的要素から構成されます。


 我国企業等の内部統制の脆弱性として、統制環境が備わっていない点が指摘されています。又、情報と伝達の面でも組織内全ての者に円滑な情報伝達が行き渡るようなシステムになっていないと言われています。

 内部統制を整備、運用する役割と責任は経営者にあります。経営者は内部統制の目的を達成するために、基本計画及び方針を策定する中で、内部統制の基本的要素が業務に組み込まれたプロセスを構築し、全社的な内部統制及びプロセスに係る内部統制の整備、運用を図り適切に機能させていくことが求めれております。

 内部統制の重視はただ公開会社のみに求められているものではなく、中小会社においても経営効率のアップや不正、誤謬防止のためにもこの機会に内部統制を整備すべきものと考えられます。

北國TODAY  2005−6冬号 Vol.41に載りました

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