中野一輝公認会計士事務所
コラム

 企業幹部の会計学
   株主資本等変動計算書

「会社法により株主資本等変動計算書を財務諸表の1つとして導入」

【株主資本等変動計算書】
 平成17年12月27日、企業会計基準委員会は「株主資本等変動計算書に関する会計基準」を公表しました。

 これまで、財務諸表においては、当期未処分利益の計算が損益計算書の末尾で表示され、株主総会における利益処分の結果を受けて、利益処分計算書が開示されてきました。

 しかし、近年の会計基準の新設又は改正により、資本の部に直接計上される項目(その他有価証券評価差額金等)や、資本の部の変動要因(自己株式の取得等)が増加していることなどから、ディスクロージャーの透明性確保のため、株主持分の変動に関する開示制度の導入が望まれていました。

 こうした中、平成 17 年 7 月 26 日に公布された会社法では、すべての株式会社は、貸借対照表及び損益計算書に加え、株主資本等変動計算書を作成しなければならないこととされ、株主資本等変動計算書が財務諸表の1つとして位置づけられることとなりました。

 これによって、今まで貸借対照表と損益計算書だけでは困難であった資本金、準備金及び剰余金の数値の連続性の把握ができるようになりました。


【作成方法】
 株主資本等変動計算書は、次の表のように作成します。
  株主資本 評価・換算差額等 新株予約権 純資産合計
資本金 資本剰余金 利益剰余金 自己株式 株主資本合計
前期末残高 xxx xxx xxx △xxx xxx xxx xxx xxx
当期変動額                
 新株の発行 xxx xxx     xxx     xxx
 剰余金の配当     △xxx   △xxx     △xxx
 当期純利益     xxx   xxx     xxx
 自己株式の処分       xxx xxx     xxx
株主資本以外の
項目の当期変動額(純額)
          xxx xxx xxx
当期変動額合計 xxx xxx xxx xxx xxx xxx xxx xxx
当期末残高 xxx xxx xxx △xxx xxx xxx xxx xxx

(1)株主資本の各項目
 株主資本の各項目は、前期末残高、当期変動額及び当期末残高に区分し、当期変動額は変動事由ごとにその金額を表示します。

(2)株主資本以外の各項目
 株主資本以外の各項目は、前期末残高、当期変動額及び当期末残高に区分し、当期変動額は純額で表示します。 ただし、当期変動額について主な変動事由ごとにその金額を表示(注記による開示を含む。)することもできます。


【適用時期】
 株主資本等変動計算書は、会社法施行日(平成18年5月1日)以後終了する事業年度から作成しなければなりません。

北國TODAY  2006年夏号 Vol.43に載りました

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